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パトロネ  

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「パトロネ」

藤野可織/著

同じ大学に入学した妹と同居することになった「私」。妹を追うようにして写真部に入った私は、顔に皮膚炎をわずらいながらも写真の魅力に少しずつ引き込まれていく。そんな私を妹は意図的に無視し続ける。いびつな二人暮らしが続くなか、ある日妹は荷物と共に忽然と姿を消して…。現実世界に突如現れる奇妙な出来事を丁寧な筆致で掬い取る。第149回芥川賞を受賞した著者の小説二作品を収録。(Amazonより抜粋)

「パトロネ」もしくは「パトローネ」の意味/
パトローネ(ドイツ語: Filmpatrone)は、写真機にフィルムをそのまま装填できる円筒形の容器である。とくに写真用35mmフィルム(135フィルム)用のものを指し、英語由来の外来語フィルムカートリッジ(英語: film cartridge)、あるいはフィルムカセット(英語: film cassette)は、それ以外のものを含めたカートリッジ式(カセット式)のロールフィルム全般の容器を指す[3][4]。たんにカートリッジ、カセットとも。(ウィキペディアより抜粋)



さて、もう11月です。
今年もあと60日をきってるとか思うと身の毛もよだつ思いがするwataruでございますこんにちは。
最近は更新も滞りがちなうえに映画ネタもあまりありませんでして......とはいっても色々観てはいるんです。

スタローンさんの骨が太すぎるにも程がある骨太映画「バレット」
シュワちゃんの金曜ロードショー感満載の楽しい映画「ラストスタンド」
ダコタ・ファニングが大人になってキレイになったけどどっからどう見ても余命9ヶ月の病人には見えない湿っぽい難病映画「17歳のエンディングノート」
ドジっ子レザーフェイスが可愛くて可愛くて仕方がない「悪魔のいけにえ/レザーフェイス一家の逆襲」などなど。

それにしても悪魔のいけにえの方はこれが正当な続編という事らしいんですが、キレキレのデニス・ホッパーが出てくる方の「悪魔のいけにえ2」は無かった事になるのかな?アレはアレで素晴らしい映画だったんですけどもね。

さて、そんな事はさておき、読書の秋でございます。
今回は「爪と目」「おはなしして子ちゃん」などの、当ブログにて大プッシュしております京都出身の作家・藤野可織さんの「パトロネ」の感想でございます。

この「パトロネ」は、芥川賞受賞作「爪と目」の前に出た本で、値段がちょいと高かったので今まで手を出しておりませんでしたがこの度めでたく文庫本化されまして、早速購入して読んでみました。

物語は、主人公の女性の部屋に、大学生になったばかりの妹が引っ越してくるところから始まります。
しかし、どうもおかしい。妹は徹底的に姉を「無視」し続けます。まるで姉などそこに居ないかのように。
姉は姉で「あんたがそうするなら」とその無視を受け入れ、奇妙な同居生活が始まっていきます。
どうもこのへんから「あっ、これはもしかして......」と、ある映画の事を思い出していたんですが
主人公である姉が皮膚病を患ったあたりから、物語は奇妙にねじれていきます。

読み進めていきながら、わたしはもしかしたらもうこの世には存在してなくて、実はもう幽霊になっているのに、幽霊になったことにすら気がついていないんじゃなかろうか、という感覚に陥りました。普通に働いてメシ食って映画観て寝て、自分の中に流れている時間は常に一定を保ってはいるけども、このあまりにも早い月日の流れは一体なんなのか、もしかしたらわたしはその「時間」の外で永遠にループし続けているだけなんじゃないか、と不安になってきます。心がゆっくりと乱されていくような、足元にあるはずの地面がゆっくりと溶けてなくなっていくような、そんな、いや〜な気持ちにさせられます。

巻末に収録されている星野智幸さんの解説にも挙げられていましたが、


そもそも時間なんてものは存在するのだろうか。見えやしないではないか。見えるのは、人間が死んでいったり、ものが古くなって壊れたりするありさまだけだ。
時間は物質ではないから積み重なりも流れ去りもしないし、剥がれ落ちたりもしない。積み重なったり流れ去ったり剥がれ落ちたりするのは私たちのほうだ。
「でも、あるんだってば」るりちゃんの声がよみがえる。
「見えないだけ。ちゃんとあるの」



なんかね、この文章がね、とても心に残りました。
そして物語はねじれにねじれて、これはどうなってるのかな、どうなるのかな、と思っていると不意に、ブツッと、突然に、終わります。結局のところこの姉は幽霊なのかそうではないのか分らないままだし、読み手としては「うわぁっ、せめてそこだけはハッキリさせてー!」というストレスだけが残りますが、わたし的には映画でもこういう「ええっ!?」という終わり方が大変に好みですし、こういうのは読む人の「好き嫌い」の問題というだけですので。

あと、同時収録されている「いけにえ」についても少し書いておきます。

主人公は中年の女性で、彼女はとある美術館の監視員。
特に絵に興味があるわけでもない彼女が美術館の監視員をやっている目的は、その美術館に現れる「双子の悪魔」を捕らえる事。そして、ちっこい猿のようなその「双子の悪魔」はどうやら彼女以外には見えていない。
しばらくして彼女は遂にその双子の悪魔を捕獲することに成功する。
彼女はその悪魔たちに何をしたのか.......?というのがおおまかな粗筋ですが
「ええっ、なんでそんな事すんの!?」
というような事をします。めちゃめちゃ驚きました。
驚きましたが、なんかこう、女の人ってこういう所あるよなぁ......と妙に納得してしまうところもあって
残酷さとメルヘンという両極端なものを行ったりきたり、というかそれらを同等のものとして見ているというか、そういうのはなんとなくですが40過ぎのおっさんにも分るというか。


そんな感じの「パトロネ」の感想でございましたが、全体としては「やや固め」という印象。後の「爪と目」で一気に爆発して、その後の「おはなしして子ちゃん」ではもっと世界が広がり、楽しく読みやすくなったかな。
一人の作家が成長してゆく様を見ているようで、読み手としても嬉しいです。

読書の秋ということで、読書好きな方はお手頃価格になったこの「パトロネ」を読んでみるのもいいぢゃない!


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