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爪と目  

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↑この本の下に敷いてあるのは「28日後....」のパンフです

「爪と目」

藤野可織/著



「あなた」のすべてを「わたし」は見ている。
衝撃の第149回芥川賞受賞

娘と継母。父。喪われた母。
家族、には少し足りない集団に横たわる
嫌悪と快感を、
律動的な文体で描ききった
戦慄の純文学的恐怖作。


「あなた」のわるい目が
コンタクトレンズ越しに見ている世界。
それを「わたし」の目とギザギザの爪で、
正しいものに、変えてもいいですか?




なんだか物凄く久しぶりに本を読みました。
映画原作の「ラブリー・ボーン」「モールス」、そして「悪の教典」以来のひっさびさの読書でございます。

まずはわたしがどのくらいの「本を読むのか」という所から話は始まりますが、それこそ小さい子供の頃から本を読むのが好きでそれが30代半ばぐらいまで続いていて、特に好きな作家は村上龍さんだったりなんかして、「イン・ザ・ミソスープ」とか「五分後の世界」とかすげー好きでしたし村上春樹さんの本も多少は読んだりしましたよ。あとねー、「帝都物語」とかもごっついハマってましたし京極夏彦さんの京極堂シリーズもどっぷりハマっておりましたよ。そんな感じの、流行ものメインで本読んでるような、ね。


そしてこれはこのブログで何度か書いている事なんですけれども、30代半ば以降、本を読まなくなりました。いや、「読めなくなった」といった方が正しいか。

本を読むという行為は、文章を読んで自分の脳の中でその情景を思い浮かべる.......つまり文章を映像として楽しむ事なのですが、30代半ばからその文章→映像への変換が出来なくなってきたわけです。
読んで色々想像して「絵」を思い浮かべるという作業がとてつもなく苦しい作業になり、「これも老いなのか.......」と自然と本からは遠ざかっていき、代わりに映像そのものである「映画」に傾倒していき今ではこんな偏った映画の感想メインのブログなんかやってたりなんかして。「目に映るもの」に対して過剰に反応する性質なのか最近は写真を撮るのが楽しみでInstagramなんぞをやり始めたりなんかして。

それでもたまには「本が読みたい......」という欲求がムクムクと湧いてきて、苦痛を伴わずに本を読むにはどうしたらいいのか?と考えた結果「映画化された原作本を、映画を観た後に読む」、これが一番楽だという事に気が付きました。既に先にヴィジュアルが完成してしまっているので文章を読むのが辛くない。そして映画で再現できなかったような事も読んで知る事ができるしね、一石二鳥というワケでございます。

ただ、これでいいのかな、こんな本の読み方してていいのかな、と思う所もありまして。

なんかこう、純粋に「本」を読んでみなければ。

そんな思いに駆られましてね。本屋で目にした瞬間にこの「爪と目」を手に取っていました。



さて本を購入した後、うちの近所にあるcafeで食事しながら読み始めたんですが、10ページぐらい読んだだけでもう「イヤな予感」しかしなくて。「わたし」「あなた」に起こった出来事は全て過去形で、何かとんでもない事が起こった後の回想なんだな、と。
うへぇ、なんだこれ。なんなのこのイヤな感じ。

そしてチキンなわたしは怖さのあまりそこから読むのを暫くの間中断していましたが先日意を決してイッキ読みしてしまいました。

で、感想です。

こわっ。

めっちゃこわいじゃん!!(←褒め言葉ですよ)

先程わたしは文章から映像に変換する作業がツライ、と書いてましたが、この作品に関してはその辛さが全くないばかりか、わたしの脳のなかに溢れんばかりの映像が展開されて、時にはクッキリと、時にはぼんやりと、でもその映像は決して暗くなく光に満ちあふれていました。
そういう明るい映像なのに、何かが歪んでいる。何かがおかしい。
ギリギリでセーフかギリギリでアウトか、その境界線の上を綱渡りするような危うさ。

どこかフワフワ〜としてるけど、「爪」と「目」に関する執拗な描写で、肉体的な不快感を伴います。
わたしは特に「目」に弱いんです。
わたしは目が悪いんですが、コンタクトレンズという選択肢はありません。目の中に異物が入ると考えただけで「うぎゃー!」ってなっちゃうんで。映画でいうと「サンゲリア」の、目にグサーッって刺さるアレあるじゃないですか。
もうダメ。ああいうのダメなのよ全然。
目はだめよ目は。

そんな「目に滅法弱い」わたしが、この「爪と目」のラストに、耐えられると思いますか?
ムリムリムリムリ!
読みながら、
「えっ、うそ」
「え、何してんの」
「やめてとめてやめてとめて」

ぎゃああああああー!!

と叫んだとか叫ばないとか、いやさすがに叫んではいませんが、なんとも言い様の無い気持ち悪さにしばらく放心状態でした.......わたしは純文学とかよく分んないですし、文体がどうのとか、そおいう分析めいた事は一切書けないんですが、こういう「ホラー」な小説が芥川賞獲って話題になるっていうのはホラー好きなわたしのような人間にとってはとても嬉しい事でして。いやぁ素晴らしい。ええもん読まさせて頂きました。ありがとうございました。

この本には「爪と目」の他にも、「しょう子さんが忘れている事」「ちびっこ広場」の2作品がありますが、どれもジワジワと怖くなる良作です。わたしは「ちびっこ広場」が妙にツボに入りました。なんかいいなぁ、これ。

梅図かずお的なおどろおどろしい「怪奇」な雰囲気もありながら、浮かんでくる映像は洗練されていて美しく、女性ならではの繊細さに溢れた.......というか、何となくですが「男が全く役に立たない」または「蚊帳の外」みたいな感じがフレンチホラーの傑作「屋敷女」みたいかなぁ、と思ったりなんかして。あんな血まみれな話じゃないですけど、何となく、ね。


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